介護には女性がもつ包容力が有効

認知症が進み、お年寄りに言語障害が出たり、自分で排泄がスムーズにできなくなったりしてベッドから出られなくなった状態は、いわば幼児と同じような状態だと言われます。しかし、お年寄りは、長い年月生きてきた人生の先輩であり、家族との間には共有してきた長い時間が存在するのです。周囲にいる人がそのことを忘れずに幼児に接するようにではなく、お年寄りに敬意と家族の愛情をもって接することで、認知症の進行を、病気としてではなく、正常な老化へと変えていくことができるという説があります。そもそも、認知能力が低下し、ものの名前が思い出せなくなるという程度のゆったりした正常な老化は、現代のお年寄り特有のものではありません。昔からあったものに名前がつけられただけのものなのです。老人のいやな性格が目立って来ると、家族や伴侶として心が通っていたころの人格が消えてきたことへの喪失感による悲しみよりも嫌悪感が強くなってしまうこともあるでしょう。そのようなときに、さきほど話に出たものと同じ研究で有効だとされているのは、介護される人の話がつじつまの合わないものになっても、その場限りの会話の流れに合わせること、そして前回の話の流れを引きずらずに、いつもユーモアをもってその場、その場を気持ちよく、気分よく過ごせるようにしていくことです。介護者はケアの専門家や家族であることが主で、いずれの場合も圧倒的に女性が多いです。でも、このユーモアをもって気持ちよく、というのは男性の介護者であっても言えることで、男性、女性を問わず、女性が幼児の全てを受け止めるあの包容力にも似たものをもってお年寄りに接していけば、正常な老化の中で幸せに人生を送れるのだということです。多かれ少なかれ、誰もがいつかいく道、みなが幸せだったと思える人生にしていきたいものです。